船体分離
出典: Memory Alpha
船体分離(Saucer separation)は、連邦の宇宙艦で非常の際に実行される、第一船体と第二船体を完全に切り離す手段である。24世紀より前には、船体分離は、艦が深刻な危機にある場合に一度だけ用いられる手段であり、どちらかの船体を放棄することを意味していた。また、自力による再結合はできなかった。(TOS:死のパラダイス) しかし24世紀には、 船体分離機構が通常の機能として搭載され、自力での再結合が可能な宇宙艦が現れるに至った。これらの艦では、両方の船体に、長期間での独立した運用ができるよう、必要な設備が搭載された。(TNG:未知への飛翔)
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[編集] 船体分離の可能な艦船クラス
23世紀においては、コンスティチューション級を含む、円盤部/機関部のレイアウトを持つほとんどのクラスの宇宙艦で船体分離が可能であった。24世紀には、通常時にも船体分離が行える艦が設計され、ギャラクシー級はその一例である。(TNG:未知への飛翔) このような艦は他に、プロメテウス級がある。(VOY:プロメテウスの灯を求めて)
- 改装型USSエンタープライズが船体分離を行う場面は、Andrew Probertによって、劇場版スタートレックの終盤に出てくる可能性のあったシーンとしてストーリーボードが描かれ、そのために、船体に分かりやすい分離ラインが追加された。
- John Eavesがスタートレック:ファーストコンタクトで書き下ろしたスケッチでは、ソヴェリン級は船体分離と再結合が可能となっており、USSエンタープライズEの主システム・ディスプレイにはそれを示すように分離ラインや戦闘ブリッジが映し出されていたが、それが台詞の上で説明されることはなかった。それだけでなく、第二船体にはインパルス・エンジンが見当たらなかった。
- エクセルシオ級宇宙艦は、ドッキング・ラッチや戦闘ブリッジを備えていた可能性があり、USSエンタープライズBの主システム・ディスプレイに映し出されていた。
- また、アンバサダー級の撮影ミニチュアには、分離ポイントを示すと思われるラインが引かれていた。ソヴェリン級のように、インパルス・エンジンが片方だけの船体にしか見られないことから、船体分離はできるがあくまで非常用の手段なのかもしれない。
- なお、USSヴォイジャーのイントレピッド級は船体分離の機能はない。その代用として胴体軟着陸機能があるのだろう。
[編集] 分離シークエンス
ギャラクシー級においては、船体分離は主に、民間人や一部のクルーを円盤部に退避させ、第二船体に残った必要なクルーが会敵したり、危険な状況に対処したりするための機能である。
艦がこのような状況に遭遇した場合、分離命令は指揮官により、メイン・ブリッジから発せられる。上級士官はシニア・スタッフと共に、非常用ターボ・リフトで第二船体の戦闘ブリッジへと移動し、下級士官は円盤部の指揮に当たる。円盤部は大抵の場合、宇宙基地などの味方の領域へと避難するよう指示を受ける。
円盤部に退避する乗員の誘導は、保安部員によって行われる。(TNG:未知への飛翔) 分離までの時間と、それまでに実行される作業の、音声による警告が行われる。(スタートレック:ジェネレーションズ)
実際の分離の段階では、第二船体側のドッキング・ラッチが外れて船体に引き込まれる。通常、二つの船体の分離は自動で行われるが、手動での操作も可能である。(TNG:未知への飛翔) 分離の様子は操舵手とオペレーション・マネージャーによってメイン・ブリッジと戦闘ブリッジの両方からモニターされる。機関部のスタッフが、分離の際の支援を行うことも可能である。(TNG:浮遊機械都市ボーグ・後編)
これにより、ワープ・ドライブや武器システムの大部分を含む推進部船体は、人員を不必要に危険に晒すことなく危機への対処が可能となる。 状況終了後は、二つの船体はランデブーと再結合を行う。通常、再結合は分離とは逆の手順で行われ、やはり自動と手動の両方で可能である。
[編集] ワープ中における分離
決して推奨はされないが、ワープ速度での航行中に船体の分離を行うことも可能である。ジャン=リュック・ピカードは、Qとの最初の遭遇の際、ワープ9.5の速度下で船体分離を実行した。データによると、それは実際的とは言えないが、可能ではあるということである。ただしこれは、安全のためのマージンがほとんど無い、僅かなミスも致命的な結果に繋がる危険な手段である。 船体の分離後は、円盤部は減速を始めるため、第二船体は円盤部と衝突しないよう進路の安全を確認する必要がある。ピカードは、Qの強大な力から乗員とその家族を守るために、この行程を見事成功させた。(TNG:未知への飛翔)
[編集] 円盤部の不時着陸
多くの宇宙艦の円盤部は、惑星(Mクラスが望ましい)上の適当な地形に不時着が可能なように設計されている。円盤部は、水平状態で、出来るだけ水平に近い地表への接近が求められる。着陸する場所は、平らで障害物の無い所でなくてはならない。着地の際は船体構造にかなりの衝撃が加わるため、再び宇宙航行へと復帰することはほぼ不可能である。(スタートレック:ジェネレーションズ)
- USSエンタープライズDの不時着シークエンスは、1991年、Star Trek:The Next Generation Technical Manual内で初めて紹介された。脚本家のRonald D. Moore、Brannon BragaとJery Taylorはこれにヒントを得て、第6シーズンのクリフハンガー(次シーズンへの繋ぎの場面)としてこれを使いたいと考えたが、プロデューサーのMichael Pillerは乗り気ではなく、しかもこのシーンは、当時テレビで可能なVFX技術としては予算が掛かりすぎた。その後MooreとBragaは、「ジェネレーションズ」の中でこのシーンを実現することになる。
- ファンダムの資料によると、TOS版のエンタープライズは、円盤部下面の二つの三角形のハッチの間と、円盤部と第二船体の接合部近くの窪みに着陸脚を備えていたということである。USSエンタープライズEの円盤部にも似たような形状が見られるが、デザイナーのJohn Eavesはこのようなファンダムの情報が背景として存在することは知らなかった。
- 改装型のUSSエンタープライズに関しては、Andrew Probertが円盤部の下面、四つの四角いパネルの後ろに隠れる形で着陸脚をデザインした。このパネルのデザインは、USSリライアントやUSSエクセルシオを含む、TMP時代の宇宙艦に引き継がれた。彼は、USSエンタープライズDにも着陸脚を付けようとしたが、それは実現しなかった。後年彼が述懐したところによると、船は「ケチったことへの代償」を払ったということである。
[編集] 船体分離の実例
[編集] 戦略目的による例
USSエンタープライズDは、2364年の初任務の途中、Qと名乗る脅威的存在と対峙すべく、船体分離を実行。ピカード艦長は、ウォーフ中尉に円盤部の指揮を命じた。これは、ワープ航行下で行われた初めての船体分離である。船体の再結合にあたり、ピカードは新任の副長であるウィリアム・ライカー中佐に、手動でのドッキング操作を命じた。ブリッジのクルー達はこの命令に多少の不安を覚えたが、ライカーはこれを成功させた。彼は、自動装置の支援を一切借りずに双方の船体を安全にドッキングさせ、ピカード艦長にその能力を印象付けた。(TNG:未知への飛翔)
同年、タレリアの輸送船バトリス号から救出されたクリンゴンの反逆者であるコリスとコンメルは、エンタープライズDの第二船体を案内されるうち、艦を乗っ取って自らの戦力として使おうという衝動にかられ、戦闘ブリッジを占拠して船体分離を行うという企てにウォーフを誘い込もうとした。しかし幸い、ウォーフはエンタープライズの忠実な士官であった。(TNG:さまよえるクリンゴン戦士)
同年、艦の指揮を執っていたジョーディ・ラ・フォージ少佐は、惑星ミノスの戦闘用ドローンを破壊するために船体を分離させ、第二船体を惑星ミノスへと差し向けた。チーフ・エンジニアのローガンが円盤部の指揮を任され、第103宇宙基地へと向かうよう命じられた。(TNG:生き返った死の宇宙商人)
同年、ロミュランの中立地域周辺で多数の植民地や前哨基地が破壊されたため、USSエンタープライズDはその調査に向かった。ライカー中佐は船体の分離をピカード艦長に進言したが、ピカードは、まだそのような行為が正当化されるには時期尚早だと考えた。(TNG:突然の訪問者)
2366年、シェルビー中佐はボーグの注意を逸らすために船体を分離することを提案したが、ライカー中佐は円盤部のインパルス・エンジンの余剰パワーがボーグとの戦いで役立つと判断してこれを却下。にもかかわらずシェルビーは独断でこの案をピカードに伝える。(TNG:浮遊機械都市ボーグ・前編) ウォルフ359での凄絶な戦いの後、エンタープライズはボーグ・キューブを捕捉、船体分離を実行し、ボーグは計画通り第二船体に攻撃を集中、円盤部には注意が回らなかった。これによりシャトル・クラフトは、円盤部から発進して反物質スプレッドの中に紛れつつボーグ・キューブに接近することが可能となり、データ中佐とウォーフ大尉はキューブ内への転送による侵入に成功。地球軌道上のボーグを打ち破る決定打となったのである。(TNG:浮遊機械都市ボーグ・後編)
以上のような、船体分離の戦略的活用はおそらく、2374年に就航したUSSプロメテウスの、多方向攻撃モードのヒントになったものと思われる。(VOY:プロメテウスの灯を求めて)
[編集] 非常事態における例
初期の宇宙艦では、非常事態においてクルーの生存を図ることが船体分離の唯一の目的であった。2267年、ジェイムズ・T・カーク船長は、USSエンタープライズがガンマ・トリアンギュリ6号星においてバールにより危機的状況に陥った際に、主任機関士であるモントゴメリー・スコットにワープ・ナセルを投棄させ、円盤部を切り離して脱出する準備をしたが、最終的にその命令が下されることはなかった。(TOS:死のパラダイス)
ギャラクシー級においても、乗員の安全確保のために船体分離を行う場合はもちろんあり、2365年にエンタープライズDでウイルスが隔離コンテナ内で異常増殖を始め、コンテナを破る恐れが生じた際、ライカー中佐が船体分離の準備を命じたことがあった。(TNG:光から生まれた生命)
2366年、アンサタのテロリストがエンタープライズDのワープ・コアに爆発物を仕掛けたとき、ピカードは船体分離を命令しようとした。幸いにも、ラ・フォージ中佐が爆発物を撤去、爆発前に宇宙空間に転送することに成功した。(TNG:異次元テロリスト)
同年、エンタープライズDのワープ推進システムがインベディウムに汚染され、物質/反物質インジェクターの不調を引き起こした。艦は暴走、制御不能になり、船体構造の維持が不能になる恐れが生じたため、ブリッジ士官は船体分離の命令を下す準備をしていた。しかし、不規則なワープ・プラズマのナセルへの流れが、ワープ・フィールドの裂け目を生み出すことにより、分離中に円盤部が破壊され、回避機動が取れなくなる可能性もあった。(TNG:倒錯のホログラム・デッキ)
艦のコントロールが他者に奪われるのを防ぐための手段として、船体分離が行われることもある。2367年、ヌーニエン・スン博士がデータを操って自分の星へ呼び戻すためのシグナルを送ったときがそうであった。データは、ブリッジの環境システムを切り、自らブリッジに立て篭もって全ての命令系統の機能をシャットダウン、艦のコースをスン博士の星へと向けた。機関部のピカード艦長やシニア・スタッフは、第二船体のコンピュータ制御を取り戻すために船体分離の実行を試み、その後にトラクター・ビームで円盤部を取り押さえようと考えるが、データはこの分離命令が実行される前に発見、無効化してしまった。(TNG:永遠の絆)
2368年、エンタープライズは量子フィラメントに襲われ、船のほとんどの機能が停止、反物質抑制フィールドも徐々に効かなくなりつつあった。ロー・ラレン少尉は、円盤部の生存者を救うために船体分離を行うことを主張するが、それは、ワープ・コアの破壊と共に第二船体の乗員の命が失われることを意味していた。そのときブリッジに残っていた上級士官であるディアナ・トロイは、船体分離の実行を遅らせ、ブリッジからのパワーを機関部の必要なモニターに回すことを決めた。ライカー中佐とデータは分離が実行される前にモニターを確認、反物質抑制の消失による惨事は避けられた。(TNG:エンタープライズ・パニック)
3年後の2371年、不幸にしてエンタープライズDは同じ理由で船体分離を行うことを余儀なくされる。デュラス姉妹の不意打ちにより艦は深刻なダメージを受け、エンジンの遮蔽システムが損傷してしまう。機関部の爆発前に全乗組員が円盤部への避難を完了し、分離が実行された。第二船体の爆発による衝撃波により円盤部はヴェリディアン3号星の大気圏へと吹き飛ばされ、地表へと不時着陸せぜるを得なくなった。人的被害は少なかったものの、艦の再回収はもはや不可能と見られた。(スタートレック:ジェネレーションズ)
[編集] 背景
船体分離は、新スタートレック製作の初期段階においては、しばしば登場するフィーチャーとして予定されており、TNG:死に急ぐ惑星アルデアのBプロットを含むいくつかのエピソードで使われるはずであった。然るに、予算的な問題により、分離している場面を余分に撮ることができなかったうえ、そういった場面はストーリーのテンポを落としてしまうとまで考えられた。これにより、エンタープライズは気の毒にも、船体分離という選択肢が語られることすら無いままに数々の危機の渦中へと放り込まれるのであった。
[編集] 外伝等
- TOSの小説であるBlack Fireの中で、ブリッジ内で爆弾が爆発して船やクルーがダメージを受けた際に、チーフエンジニアのスコットは、船体を分離するよう命令する。その後船は、宇宙基地で再結合が行われた。
- TNGの小説であるRogue Saucerでは、ギャラクシー級の円盤部を着陸後も回収可能な設計にしようという宇宙艦隊の試みが主題として描かれていた。
- スタートレック:ジェネレーションズの小説版では、USSエクセルシオのヒカル・スールー艦長がカークの失踪を娘のデモラ・スールーより聞かされたときに、艦では非常事態における訓練が行われており、通信が届いたときは丁度、緊急の船体分離が完了したところだった。
